ヘルシンキから1km 離れた湾内に浮かぶスオメンリンナ島を訪れました。いたマーケットからフェリーに車ごと乗って行きました。
スオメンリンナ島は1809 年から100 年もの間ロシア帝国領となり、1855 年のクリミア戦争などフィンランドにおける数々の戦争の歴史の舞台となりました。世界有数の規模を誇る「城塞」の残る島です。現在、島の人口は900 人ですが、ユネスコの世界文化遺産として登録されているため年間65 万人もの観光客が訪れます。ここにかつては城だったというアパートがあります。
エサ・トイヴァネン(Esa Toivanan)さんの家を訪問しました。エサさんは2000 年にヘルシンキからこの島へ移住しました。木彫りのアーティストとして活躍されているエサさんは、以前はコンサルタントの仕事をしていました。。当時ヘルシンキの港近くに住んでいたこともあり、この島にはしばしば訪れていたそうです。興味深い歴史と豊かな自然、両方がそろっているところに惹かれました。コンサルタントからアーティストに転身されたのは15 年前。独学による木彫りの作品が世の中に受け入られてからは、完全にアーティストとしての作品づくりに打ちこむことになりました。握手をした時、大きな分厚い肉を握った感触をいまでも忘れません。木彫りの手を理解できました。
そこで気に入っていたこの島の隣島にご自身の工房を設けました。住居もこの島に、と考え、現在のアパートに越して来ました。現在は奥さまのアンヌ(Annu)さんと、息子のサンディ(Sandi)くんと暮らしています。ちなみに奥さまはヘルシンキで銀行員でしたが現在は看護師のお仕事をされています。ご夫婦そろっての思いきった転身です。
エサさん一家のアパートは、103uで部屋は3 室、天井は4 m以上と高いため空間の広さを自由に楽しむことができます。必要に応じて各部屋を分けるスライド扉があります。ゲスト用の寝室としてロフトを設けるなど機能的にも工夫されています。7 つあるアーチ型の大きな窓によって、外の風景が入りこむような雰囲気です。その他、アパート1 階部分にはサウナがあり、住民はいつでも利用できるようになっています。
エサさんの工房にも案内していただきました。ご自身がアーティストであるエサさんのお宅には素敵なインテリアがあふれています。何かテーマがあるのかと思い尋ねると、「基本的にはどんなものでもよくて、古いものもモダンなものも混在しています」とエサさん。
その言葉のとおり、お部屋のインテリアは様式としては統一されていないのですが、どこにいても居心地のよさがあります。リビングの広いスペースには、木製のチェストを中心に古い家具とモダンな家具、そしてエサさんの作品が並んでいます。明るい台所にはエサさん手作りのキッチン道具が揃っています。お気に入りの場所は、一番たくさん時間を過ごすダイニングだそうです。家族や友人たちと食事をした後にリビングへと移動、というパターンがこの家の日常のようです。 「私たちはこの家を、自分たちに似合う家にしたいと思っています。特に何か方向性を決めているわけではないですが、例えば家具ひとつにしても、美しく長持ちするものを選び、それで部屋を作っていきたいと考えています。」

